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人間の安全保障委員会第1回会合
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I. はじめに
2001年1月の人間の安全保障委員会設立の発表を受け、6月8日から10日までグリーンツリーにおいて委員会第1回会合が開催された。今次会合が実現した背景には、ロックフェラー財団、ホイットニー・グリーンツリー財団より物心にわたり寛大な支援が行われたことが大きい。 議題及び参加者リスト を別添する(別添1及び2)。 人間の安全保障委員会は、2000年9月の国連ミレニアム・サミットにおける国連事務総長の要請に応え、「恐怖からの自由」と「欠乏からの自由」を実現するために設立されたものである。本件委員会の設立にあたっては、非公式な計画策定グループが組織され、委員会の目的、当初の研究テーマ、活動形式等について支援を行った。 委員会の目的は次のように定義されている:
委員会の会合終了後には、6月11日に国連本部事務局において両共同議長主催の記者会見が行われた(記者発表資料別添3)。また、日本国国連代表部大使がレセプションと夕食会を主催した。 II. 実質的議論 会合冒頭の発言の中で、両共同議長は人間の安全保障の概念と委員会の活動についての考え方を述べた。委員会の設立を巡る経緯についても議論の対象となった。 緒方共同議長は、人間の安全保障が広範な分野にわたり議論されている概念であることから、具体的な行動が期待される政策分野を特定することが必要であると述べた。また、委員会の活動は、種々の国際機関、各国政府、市民社会やその他のアクターの活動と関係付けられなければならない。また、緒方氏は、暫定事務局が緒方氏とともに作成した「人間の安全保障総論」ペーパーを示し、人間の安全保障が焦点を当てるべき対象として、個人のみならず集団やコミュニティーをも重点的に考慮すべき旨述べた。紛争と開発のいずれも単独の問題として捉えてはならない。むしろそれぞれの問題点を統合した視点から捉え、包括的に人間の安全を高めることに主眼がおかれるべきである。 セン教授は、公平(equity)と、人間の安全保障、不平等、貧困、社会的弱者の危険な状況等との関係に焦点を当てるべきと述べた。さらに、セン教授は、委員会の活動として、具体的な行動計画を策定する一方で人間の安全保障に関する概念的に精緻な定義を深めていくことにより、バランスのとれたアプローチをとることが重要であると論じた。 A. 概念としての人間の安全保障 出席した委員の一致した見解として、人間の安全保障が包括的な概念であり、人間の安全を確保するためには迅速かつ足並みのそろった行動を起こすことが必要であるという点がある。また、同時に、人間の安全保障に関する概念的な枠組みを構築することが本件委員会の活動と行動計画の策定にとって不可欠な要素であるという点についても意見は一致した。この点、近年人間の安全保障分野でなされた様々な取り組みについて、まずはこれらを「マッピング」することが必要となってきている。この作業をまず行い、その結果を踏まえて、委員会として集中して取り組んでいく分野を決定することが適切であろう。 委員会の活動が行動志向を旨とすること、そして単に最終報告を発出することのみが最終的な目的ではないことも確認された。委員会の活動は人間の安全保障を高めるための具体的な勧告(行動計画)という形に結実する必要がある。この点、委員会の活動においては、様々な脅威を列挙することにより世界に「暗い」メッセージを発信するのではなく、人間の安全保障の向上のための「明るい」見通しに重点をおくべきである。この意味では、委員会は人間の安全保障に関する「新しい言葉」を探求するものであり、議論の中では「世界人間の安全保障宣言」を委員会が起草すべきとの意見もあった。 委員会においては、人間の安全保障は国際社会の政治的イデオロギー、国家、宗教、民族性の違いを越えた普遍的な概念であると捉えられている(「文明の衝突」とは対照的な概念である)。経済的社会的脅威が政治的な動機から悪用されるケースがあまりにも多いことからも、人間の安全保障の分野で用いられる言語は排他的ではなく包括的であるべきである。 人間の安全保障の主たる対象は個々人であるが、委員会の活動は集団とコミュニティーのニーズにも対応するべきである。多くの場合、様々な集団とコミュニティーの間で水平的不平等(holizontal equality)が生じている。こうした不平等は、政府の差別的な政策や、特定のコミュニティーの社会サービスへのアクセスを制限することにより生じている可能性があるが、委員会が集団やコミュニティーを見据えて活動することにより、人間の安全保障の概念に新たな地平を切り開くことが期待される。 また、委員会の議論の中では、その活動の焦点を社会の中で、様々なレベルの脅威に晒されやすい個人やコミュニティーに当てるべきとの認識が形成された。この関連では、個人がそれぞれの安全保障をいかなる観点から捉えているかの研究の例として、世銀の「Voices of the Poor」報告や、南アにおける女性のための自己アイデンティティー確立事業が紹介された。同様の研究を委員会が行う可能性も提起された。 一つの地域の中でさえも人間の安全保障の概念には大きな幅があり得る。特定の地域の具体的な脅威に焦点を当てた地域ワークショップを委員会が開催することにより、委員会の最終報告の中でそうした差異をも加味した勧告を発出することが可能となろう。 さらに委員会の議論の中では、以下のような論点が特に重点的に議論すべき点として取り上げられた。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)による紛争と紛争後の問題に焦点を当てた事業提案が示され、議論された。紛争と紛争後の問題については多くの取り組みがなされているが、紛争予防への取り組みを行っている機関に対しては十分な考慮が払われていない。この関連で、UNHCRは「選択肢の梯子」により様々なレベルでのインプットを行うことを重視した提案を行っており、現場の警察や法執行メカニズムを国家・地域・国際的なレベルで強化することも視野に入れている。また、同時に、政治の力が紛争においてどのような働きをするかについても重視すべきだとしている。 紛争後の段階においては、コミュニティー間の溝を埋め、和解を目指すことが重要である。対話によるコミュニティーの再建により、人々が共に生きる必要性を理解することが重要である(例えばルワンダとボスニア・ヘルツェゴビナにおける「ともに生きよう」事業)。この観点からは、紛争の解決と予防における公平、アクセス、寛容や社会的施策を実現する「社会の再建」という面があまりにないがしろにされている。 別途UNDPが準備している事業計画についても進捗状況が報告された。この事業においては、教育、保健分野を通じ不平等を解消する取り組みを行い、人間の能力開発を行うこととされている。その際、人口分布と人口の移動に注目すべきことが指摘された。 B. アウトリーチ活動 委員会の報告が地球規模で状況に変化をもたらすためには、その行動計画と勧告とが全ての関係者の間で広く共有されなければならない。そのため、委員会は以下に述べるような精力的なアウトリーチ活動を行う。
C. 委員会及び事務局の機能 今次会合においては、委員会と事務局の機能についてかなりの時間が割かれて議論が行われた。委員会の活動原則をまとめれば以下の通り。
日本政府の代表が委員会及び事務局を支える財政状況について説明を行った。委員会の会合については様々な機関や政府からの支援によって賄われる予定である。事務局については、日本政府がUNHCRに対して通常の拠出とは別の追加的な拠出を行うことにより運営することとなった。 事務局の構成の中で、開発に関する専門家の知見が必要である点が強調され、UNDPに適当な人材を提供するよう要請することとなった。同様に、早期に報告書を執筆するライターを特定する必要が認識された。 また、今後の日程等で特に具体的に決定された点は以下の通り 1. 委員会の機能 両共同議長が委員会及び事務局の活動を総覧する。特に各分野の事業についてはいずれかないし両共同議長が関心を有する委員の参加を得て監督を行う。その際最も重要な課題は、人道的な問題と開発の問題を常に統合して考えることである。 委員会は活動期間中に合計4回の会合を開催する。暫定的な会合計画は以下の通り。
さらに、各委員は、適当な場合には上記アウトリーチ活動や、ワークショップ、セミナー等に参加することに合意した。 2. 事務局の機能 事務局は、リサーチやアウトリーチ活動の準備作業、討論のためのペーパーや最終報告書の作成、各委員の人間の安全保障推進活動の支援等により、委員会の活動をサポートすることを主要な使命とする。 事務局はニューヨークに置かれる。現在事務局長と2名の連絡員(日本政府及びUNHCRからの出向)の合計3名の事務局員が特定されている。さらに、もう一人の連絡員(UNDPより出向)の人選が進行中。 会合においては報告書の執筆者を特定することが重要である旨指摘されたことを受けて、共同議長が早急に協議を行い候補者を特定することとなった。 事務局は会合直後から立ち上がるが、完全に機能し始めるのは2001年の9月からとなる。9月までに財政状況、サポート要員等も特定される予定である。 各委員と事務局の日常的なコミュニケーションを円滑化するため、インターネット上にメイリングリストを立ち上げ、全ての情報が自動的に共有されるようにする。 次回会合の準備作業の中で事務局は共同議長との協議しつつ以下を作成する:
人間の安全保障委員会事務局 ニューヨーク 2001年6月 |
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